どうして介護業界のDX化が進まないのか

業務の効率アップや人材不足の解消という大きなメリットがある介護のDXだが、実際に現場で導入がすすんでいるのかというと、そうとは言えないのが現状だ。その理由は様々あるが、以下のようなものが挙げられる。

1つめの理由は、コスト面での問題だ。どのようなことにでも言えることだが、初期投資というのは大きな金額になることが多いものである。そのため、どうしても決断は簡単にできないのだ。また、もしシステムが壊れるなど致命的なトラブルによってストップしてしまった場合も、大きな問題が起こると考えられる。システムが使えなくても介護の仕事は休むことが出来ないので、復旧を待つまでの間、混乱が起こることは予想できる。

2つめの理由としては、DX化への抵抗感の問題である。介護業界には人材の不足だけでなく、給与などの待遇も他の業界に比べて不遇という問題もあり、どうにかするべきと考えている経営者は多いと思うのだが、いざ改革となると抵抗を感じる人は少なくない。そのため、不便を感じてもその場しのぎしかせず、根本的な改革までにはなかなか進まないのである。

3つめの理由は、職員への教育に関する問題だ。DX化することによって、新しく導入した機器に関する研修など、使えるようにするために教育を行う必要があり、またそれには日数も要する。その間にも介護の仕事は休むわけにはいかないので、完全にDX化出来る前の間は、通常業務に加えて覚えるための時間も必要となり、介護職員の負担はかなり大きなものとなってしまうのだ。